Global MIND

ドイツ人とのコミュニケーション: アイコンタクトを大切に

13.06.2017

日本人はアイコンタクトが苦手?

平成25年に東京大学大学院総合文化研究科が発表した論文の中に、日本人はアイコンタクトをとられると「近づきがたい」「怒っている」と感じる、というものがありました。

アイコンタクトとは、相手と目と目を合わせてコミュニケーションをとること。日本人は欧米人に比べ、アイコンタクトの頻度が低いことが以前から報告されています。それは上記のようなどちらかというとネガティブな感情を避けるためなのかもしれません。

歴史的にみると、階級制度が厳しかった時代には、自分よりも地位の高い人物に対して視線を合わせることはおろか、顔や姿をみることすらも無作法とされていたと聞きます。よく時代劇などで、平伏している家臣に対し、主君が「おもてをあげよ」などと声をかけるシーンがありますが、そうやって許しを得て初めて、目線を上げて主君の姿を目にすることができたのですね。「地位の高い人」を表す言葉として「目上の人」というのがありますが、これもこんな歴史からきたのかもしれません。いずれにしろ、視線を合わせてうっかり主君の怒りを買ったりしないように、目を合わせないでいるほうが安全だということだったのかもしれません。

ただ、それを現在でも続ける必要があるでしょうか? それも日本国内ならいざしらず、海外においても?

日本企業との取引経験があるドイツの人々が、日本人と会話したり、プレゼンテーションをしたりしていて不安に思うのは、アイコンタクトが少ないことだといいます。自己主張が大事で、いつも相手の目をしっかりと見つめながら話をしましょう、というしつけをうけているドイツ人にとっては、謙遜を美徳とする控えめな日本人の態度が、何か隠し事でもしているのではないかと気になるのだそうです。

また、会社組織なども、日本にくらべて比較的フラットだとされるドイツの慣用句で「対等な立場」を表すものとして、「Gleiche Augenhöhe (同じ目の高さ)」という表現もあり、コミュニケーションにおける視線の大切さを物語っています。

 

欧米型のコミュニケーションスタイルがグローバルスタンダードに

現在の国際化の流れの中で、欧米型のコミュニケーションスタイルに合わせる、というのがグローバルスタンダードになりつつあります。そうすると、ビジネスシーンに限らず、相手の目をきちんと見て話すことはマナーの基本。相手の目をまっすぐに見ることは、その人の話を熱心に聞き、相手の話している内容に関心があるということを示しことにつながります。逆に、相手の目を見ないということは、その人の話がつまらないという意味にとられたり、最悪の場合はその人に全く興味がないという印象を与えてしまうこともあるかもしれません。さらに、相手に自信のない人のようなイメージを持たれたりと、自分自身にとってもデメリットとなることも。

 

どの程度アイコンタクトをとればいいのでしょうか?

そうはいっても、もともと相手の目を見るのが苦手、という方もいらっしゃることでしょう。でもご安心ください。アイコンタクトといっても、会話の間中、相手の目を真正面から見つめている必要はないのです。

あなたが聴き手の場合、その目安は 全体の30%程度 の時間となります。自分が話しているときに相手がよそをむいていると、話し手としては「話をきいてくれているのだろうか?」と不安になりますが、要所要所で全体の3割ほどの時間アイコンタクトをとっていれば、安心して話を続けてもらえます。

反対にあなたが話し手の場合、アイコンタクトはもっと少なくてもいいぐらいです。その割合は、全体の10%程度となるでしょう。話すというバーバルな(言語による)アクションをとっている本人ですから、その他のノンバーバルな(非言語による)アクションは少なくてもいいのですね。

 

立ち位置や座る位置もポイント

また、アイコンタクトを取らなくては! とあせるばかりに、真正面からにらんでしまうようなことにならないためにも、ちょっと立ち位置や座る位置をずらしてみるのも効果的です。

立って話しているときは、相手の真正面ではなく、相手に気づかれるほど大げさでなくてもいいので、右か左に5センチほどずれてみるというのはどうでしょうか? そうすると視線がちょっと斜めからになって、よりリラックスできると思います。

このテクニックは、座って話す時にも使えます。

 

他のジェスチャーと組み合わせてもオーケー

さらにあなたが話し手の場合、会話中に『オープンポジション』というジェスチャーを使ってみるのもいいかもしれません。『オープンポジション』とは、手のひらを相手に見せ、正面を向くという動作で、A・メラビアンという心理学者によると、企業のトップや政治家をはじめ社会的地位の高い人ほど、この『オープンポジション』をとることが多く、このジェスチャーには信頼感と説得力があるとされています。米国のオバマ大統領も実践していたジェスチャーの一つだそうです。

アイコンタクトと同様、この動作を会話の間中ずっとしている必要はありませんが、このジェスチャーによって、聞き手は心を開いてもらっているように感じたり、親近感を持ったりする効果があります。アイコンタクトと組み合わせて、グローバルコミュニケーションの第一歩とするとよいのではないでしょうか。

あなたもぜひしっかりとアイコンタクトをとって、ビジネスを成功させてください。

e-Book

ドイツへの出張をご計画中、またはご赴任のご予定がありますか?
初めてお会いするドイツ人顧客や取引先と、どのように会話の糸口をつかめばいいか、不安に思っていらっしゃいますか?

ドイツおよび世界で活躍するビジネスパーソンのために、ただいま無料の電子書籍、「ドイツ人とのコミュニケーション 3つのポイント(仮題)」を執筆中です。ぜひこちらのコンタクトフォームからご予約ください。書籍が出来上がりましたら、すぐにお送りいたします。


page top